ただいま開催中の企画展「宇摩の変わり者?!安藤正楽-書簡でみる正楽像-」に関する話を一つ
したいと思います。
晩年の正楽から家族が聞き取りを行った記録集『父が語る』というものがあります。
『父が語る』は本企画展で展示・紹介はしておりません。
しかし、これには、手紙の扱いに対する正楽の考えが述べられている所があります。
「手紙は著述だ その積りで眞面目に書かねばならぬ」
「手紙は著述だ」という言葉から、正楽にとって手紙は単に連絡手段としてのものではなく、
本や書物といった作品として価値を置いていたことがうかがい知れます。
ほかにも、正楽は手紙について次のようなことを述べています。
「手紙には要件がはつきり書かねばならぬ 其上年月日もはつきりしてゐるとよい」
「わしは人がくれた手紙はみんな整理して貯へてゐる 人が死んだら其の人がくれた
手紙をまとめて遺族の人にあげる さうすると其遺族の人が故人について色々調べる
ことも出来るから」
正楽が書いた書簡を見ますと、ほとんどに「年月日」や「朝」等時間帯を示す語が付さ
れています。また、膨大な数の書簡がのこされていることから、正楽の書簡に対する熱
い思いが伝わってくるようです。
企画展「宇摩の変わり者?!安藤正楽-書簡でみる正楽像-」は
2021年2月7日(日)まで開催中です。